大正〜昭和初期の小説家で、新感覚派の旗手として知られる横光利一の短篇小説。初出は「塔」[1922(大正11)年]。吉は口が耳まで裂けた大きな顔に笑われる夢をみた。翌日から仮面製作に没頭する。学校を卒業しても職は決まらなかったが、父親が吉の作った仮面を発見した夜、吉を村の下駄屋にすることを決めた。吉は下駄屋になり仮面は店の鴨居の上で絶えず笑っていた。二五年間仮面の下で貧乏をした吉はある日仮面を仰いでみた。仮面がにやりと笑ったので腹を立て仮面を鉈で二つに割った。吉はそれで立派な下駄が出来そうな気がしてくる。