本書は、コンピュータのハードウェアのしくみと、機械語に対応したアセンブリ言語によるプログラミングについて書いた本である。理工系の大学の専門課程で「コンピュータアーキテクチャ」や「計算機構成論」などの科目の教科書や参考書として使うことを前提としている。しかし、より広い読者層にも理解できるようにさまざまな工夫をこらしてある。

 教材には、簡潔な命令セットの機械(RISCプロセッサ)のひとつであるMIPSを用いて、 個々の機械命令の動作を論理回路を用いて説明し、それらの機械命令を直接組み合わせたアセンブリ言語のプログラムについて、ていねいに解説している。また、性能の測定と評価、 プロセッサと周辺装置のインタフェース、並列プロセッサなどの話題についても、ある程度まで掘り下げて論じている。

 本文だけで850ページ近いボリュームのある本であるが、アメリカの教科書の特徴として、行間を読む必要はなく、順に読み進めば理解できる。また、それぞれの章には誤信と落とし穴、歴史展望と参考文、主な用語、演習問題という節を用意して、読者が広く深い知識を得ることができるように配慮をしている。図版や写真も豊富に取り込んであり、2色刷りで読みやすい。訳文も平易である。さらに、関連教材をWebページから得ることができる。

 原著者の米国U.C.バークレイのパターソンと、スタンフォード大学のヘネシーは、この分野では著名な研究者である。原著は「パターソン&ヘネシーの本」として名著の誉れ高かった本を、最近の動向に合わせて全面改訂して、第2版の形で出版したものである。

 インターネットの普及に伴って、IT革命という言葉がマスコミを賑わすようになった。単なるインターネット利用者にとどまらず、より詳しくコンピュータやネットワークを学ぶ人たちが増えてこないと、IT革命はバブルに終わってしまう恐れがある。本書は、コンピュータを本格的に学ぶための絶好の本であり、特に若い人たちにぜひ読んでもらうように勧めたい。(有澤 誠)